論理パズルに挑戦! 2005-01-02 17:41:40

論理パズルに挑戦である。とはいえ、私は読書は割合好きなのだが、論理パズルは非常に苦手である。ごく幼少のときから屁理屈を語るのが趣味だったのだが、それを問題に出されると、どう扱っていいのかわからない。

自分勝手に理屈をこねるのと人の話を分析して反論することが、違う種類の作業なのだろう。いうまでもなく、私が得意なのは前者のほうだけである。だから今でも屁理屈などではない、ごく当たり前のことを言われても、話を聞いているだけでは全然理解できないときが結構多い。

さて、言い訳はこのくらいにして取り掛かろう。まずは問題文から。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

例22.宇宙人について、次の法則が成り立つものとする。

(i)身長が2mの宇宙人がいる。

(ii)1人の宇宙人がいれば、必ずその宇宙人より背の低い宇宙人がいる。


次の命題の中で、上の法則(i),(ii)のみから導かれるものを全て選びなさい。

(1)宇宙人は無数にいる。

(2)身長が1mより高く、2mより低い宇宙人がいる。

(3)身長が1m未満の宇宙人がいる。

(4)身長が1mの宇宙人が少なくとも1人はいる。

(5)身長が1mの宇宙人は1人もいない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まず「二つの条件だけからの帰結で」という制限がついているから、地球人は宇宙人に含めるのかとか、宇宙人は必ず身体を持つのか、不定形のときはどうか、・・・といった余計な疑問は排除されている。さらに言えば、「身長の高さ」という概念にもさほどこだわらなくていいようにも感じる。ある順序関係を成立させる系列ならば何でもいいはずだ。

まずとりあえず、2mの宇宙人がいる。そして、宇宙人がいれば、必ずそれより身長が低い宇宙人が存在する。だから、2mより低い宇宙人が必ず存在する。しかし、この段階では宇宙人の背の高さは2m以下と言うこと以外は全く決まらない。ここまではよさそうだ。

ややこしいのは、一人の宇宙人がいれば、必ずそれより身長の低い宇宙人が存在するということの意味だ。同じ身長の宇宙人が二人以上いたら、必ずしもそれより身長の低い宇宙人が存在するとはいえない、と理解してもいいのだろうか。それとも、一人以上の宇宙人が存在すれば、それより低い宇宙人が必ず存在すると理解していいのだろうか。

自信はないが、こう理解するべきだろうか。仮に同じ身長の宇宙人が二人以上いたとしても、とりあえずその身長の高さの宇宙人が一人いる、という表現は間違いにはならないだろう。だから、一人いようが二人いようが必ずそれより低い宇宙人が存在すると理解していいのではないか。

では、早速選択肢を見ていこうまず1。

(1)宇宙人は無数にいる。

必ず、ある宇宙人より低い宇宙人が存在するのだから、「一番低い宇宙人」はありえない。だから、宇宙人の背の低さ系列は終わることがない。ゆえに、無数に宇宙人は存在するのでなければならない。
よってこれは丸。

(背の低さは、絶対にゼロになったり、マイナスになることはない。だから有限の幅を持った区間に存在することになるが、だからと言って有限個しか位置を持てないわけではない。限りなくある値に近づいていけばいいのである。原子の大きさはとか、観測の限界が、という議論は、この与えられた条件に含まれていないから度外視。この二つの条件だけが存在する宇宙を考えなくてはいけない。)

では次。

(2)身長が1mより高く、2mより低い宇宙人がいる。

答えは罰。理由は、与えられた条件からでは宇宙人どもの背の高さは2mより低く、ゼロより大きいということしか与えられていない。変な話だが、2mから出発して1.99999999999999999mに無限に近づいていく宇宙人系列を考えてみても、二つの条件には抵触しない。逆に、2mの次に身長が低い宇宙人が0.000000000001mの身長でも二つの条件には抵触しない。
だから、身長が1m云々とぬかしているあとの選択肢もすべてバツになる。いずれもいてもいいが、いなくてもいいのである。だからえらそうに「いる」とはいえないはずだ。だから、他のすべての選択肢もまた、すべてバツ


しかし気になるのは、最初に引っかかった「一人の宇宙人がいるとき、必ず・・・・」の「一人の」という限定の意味である。最低一人という意味ならば、私の解釈で問題ない。

もし「一人」を厳密に「一人のときに限って」と受け取るならば、答えはすべての選択肢がバツである。
なぜなら、最初に存在する2mの宇宙人が何人いるかわからないからだ。もし最初の2mの宇宙人が一人以上いるのだとしたら、2の条件は有効にならず、その宇宙人より背の低い宇宙人が必ずいるとはいえない。いてもいいが、いなくてもいいということになり、だから選択肢すべてはバツになる。

しかし「一人の宇宙人がいれば」ということを、無数の宇宙人を一人任意に抜き出したとき、と理解するべきなのだろうか。だとしたら一だけが丸なのだが。

防衛大学の試験問題がこんなに難しいとは。ちょっと自信がない。おそらくは、前者に解釈して1だけが丸、で正解でいいと思うが。確かに脳トレになる。