自己言及・イーガン 2004-12-29 16:38:51

・脳や遺伝子を論じるときに奇妙な感じがするのは、我々が住んでいる世界像を左右するものを、他ならない我々の世界像の中で操作しているからだろう。

・小説の中で「この世界は小説である」と主張する主人公のセリフは正しいのか、偽なのか。

・ものすごく広い意味で自己言及的である。自己言及という言葉だけでは、含意しきれないものがあるが。我々の世界の成立にとって、極めて根本的な要素である。

アメリカの文化の或る部分が、そういうものを既に問題として扱っている。アメリカの文化だけではなく、テクノロジーが我々をそういう問いに直面させているのだ。それを見ないでクローンとか遺伝子治療とかごく個別の問題だけを扱ってもむなしい。

グレッグ・イーガンの小説は全てこのテーマに基づいている。ディックがこの問題にダイレクトに取り組み続けたように、イーガンはイーガンなりに取り組んでいる。(2008年追記 イーガンはオーストラリアの作家)